ワーカーのクリエイティビティを引き出す仕掛け。ニューノーマルな屋外オフィスの実証実験

2021.6.9

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コロナ禍にける新たな生活様式(ニューノーマル)として注目されている屋外空間。積極的に屋外を選ぶ時代、”屋外で働く”可能性を探る実証実験が、横浜みなとみらいで行われました。そこでデザインされたコンテンツや什器についてピックアップします!

 

ワーカーのクリエイティビティを引き出す、”Vivid”なワークプレイス

外で働く”ことをテーマとしたこの実証実験は、一般社団法人横浜みなとみらい21、国立大学法人横浜国立大学、三菱地所株式会社、YADOKARI株式会社(以下、YADOKARI)の4社の主催により、2021年4月21日〜28日の8日間で行われました。

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実証実験の概要については公共R不動産の記事からどうぞ。
ワーカーに彩りを。ニューノーマルな屋外オフィスの実証実験
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コンセプトは、「Vivid Worker’s Place ~新しい発想・ひと・問い・好奇心に出会う~」

事務系の職種に従事する方を総称する表現として使われる「ホワイトカラー」。それに対し、あえて”外で働く”ことを選択するのであれば、自由な発想やクリエイティビティを創造するような、新しい発見や出会いが生み出される仕掛けをつくりたい。
そんな”Vivid”な刺激や出会いを与えるコンテンツをご紹介します。

コンテンツの企画・デザイン・制作を担当したYADOKARIの川口直人さん、伊藤幹太さん、アキナイガーデンの梅村陽一郎さんにお話を伺いました。

左から、YADOKARIの伊藤さん、川口さん、アキナイガーデンの梅村さん。

 

新しい刺激に出会う「インスピレーションデスク」

ビビットな色合いのデスクと、ワイヤーで組み上げられたドーム型の個室空間。

普通のオフィスにはない色使いと空間構成で、働く環境から新たな刺激を与えています。完全に個室化されず、さりげなく周囲の人の流れを感じつつ、ここに入れば集中モードに。

オンラインミーティングにも最適で、一部にはアイデアのヒントとなる本との出会いを誘発させる設えになっています。

 

雑談で人とつながる「コミュニケーションガチャ」

コロナ禍でリモート化が進み失われたものの一つ、「雑談」。新たな発想との出会いやひらめきを与えてくれるものであり、クリエイティビティを発揮するうえでは大切な要素です。

そこで、このガチャガチャを回すと、雑談のテーマとなる様々な問いが出てきます。

「理想の老後は?」
「最後の晩餐のメニューは?」
「1億円の使い道は?」

ちょっと深い問いからくだらない問いまで、”問い”をきっかけに、そこに居合わせた人たちの間にコミュニケーションが生まれ、新たなつながりを誘発していました。

 

新しい働き方を考える「アルコールクエスチョン」

コロナ禍で生まれた新しいルーティン、「アルコール消毒」。
ちょっとマイナスなイメージですが、今や誰もが当たり前にする行動。それをポジティブに転換できないかと考えられたコンテンツです。

これからの働き方を考える2択の質問に対し、アルコール消毒で答えるというもの。アルコール容器は天秤によってバランスされており、残量により天秤が傾き回答結果が可視化される仕組みです。

例えば、「一生“働き”続ける」「一生“遊び”続ける」という問い。
「一生“遊び”続ける」を選ぶなら右の消毒器で消毒。回答が多いほうが残量が少なくなり上がる、ということになります。

「一生“働き”続ける」か「一生“遊び”続ける」の質問は、人それぞれの考え方が分かれますが、一方で下の写真のように傾きが極端になっている問いも・・

「給料に満足している」か「給料に満足していないか」の問い。
世の方々が「満足して“いない”」ということが顕著に現れています・・(笑)
一方で、「満足して”いる”」の方も若干は消毒液が減っています。アルコールクエスチョンのいいところは、こうしたマイノリティも可視化するという効果も持っていることですね。
素朴な問いから、働くことに対して楽しく考えさせられるコンテンツです。

 

クリエイティブなオフィスとしての、屋外の新たな可能性

この横浜みなとみらいの、外で働くをテーマとした8日間にわたる実証実験。多様な人が交じり合う屋外空間ならではのオフィスのあり方が示されていました。

雑談や出会いから生まれる企業間のつながりは、エリアの成長には欠かせないもの。普段のオフィスで煮詰まったときは、ちょっと外に出て作業することで、クリエイティビティが発揮される。そんな新しいワークスペースが今後増えていくといいなと思います。

また、この実証実験では、屋外空間の可能性を引き出すためのコンテンツ・ツール・アイテムの重要性も際立っていました。
今後バージョンアップしたり、いろんな街で展開されることが楽しみになる風景でした。

企画・デザイン・制作:川口直人・伊藤幹太(株式会社YADOKARI)、梅村陽一郎(アキナイガーデン

テキスト:菊地純平(公共R不動産

 

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