- COLUMN
2022.2.22
プレイスメイキングキット@弥生台TRY BOX
PUBLICWARE × BEYOND ARCHITECTURE 連載vol.3
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2021.1.8
うす暗く、ちょっと怖いイメージの「夜の公園」。公園はみんなの公共空間であり、自由に楽しめる場所であってほしい。近寄りがたい夜の公園に、ちょっとしたコンテンツやアイテムがあることで楽しい場所に生まれ変わらないか。そんな妄想からオリジナル移動型店舗「公園の花火屋さん」を実現しました。
2020年5月、新型コロナウイルスの影響による緊急事態宣言が発令され、外出自粛生活を余儀なくされました。そんな日々を過ごす中、三密を避けることで感染予防となることから、屋外でソーシャルディスタンスを保つことができる公園の価値が見直されました。
奇しくもこの時期に、平常時以上に公園に人が集まる光景がみられ、憩いの場となっていました。
一方で、そんな豊かな空間である公園も、夜になって人が居なくなると、少し怖いイメージをもたれないでしょうか。
時間帯や過ごし方によってネガティブなイメージになったり、使いづらい場所になっていて、せっかくの豊かな空間がもったいない。そんな夜の公園に対する課題意識がありました。
また一方で、コロナウイルスの影響で各地の催し物は中止となり、打撃を受けた業種の方々は多くいらっしゃったと思います。そのうちのひとつに「花火」がありました。人が集中する花火大会は中止となり、それに伴って花火業界も大きな影響を受けてしまったそうです。
そんなこんなで、「夜の公園」「花火」といったキーワードが浮かび上がり生まれた企画が「公園の花火屋さん」です。
そんな課題を考えていたオープン・エーと、クリエイティブディレクターの佐藤夏生さん率いる株式会社EVERY DAY IS THE DAYが共催し、オリジナル屋台を制作し、沼津市の少年自然の家をリノベーションした宿泊施設、泊まれる公園 INN THE PARKの「夕涼み祭り」にて、 手持ち花火を自由に好きなだけ楽しめる移動式店舗、「公園の花火屋さん」を期間限定でオープンしました。
INN THE PARKに隣接する芝生広場では、これまで2000人規模の映画祭や3日間のマーケットなど、大規模イベントが開催されてきましたが、日常としての公園、というところを大事にしたい思いがありました。
日常の中の公園が、毎日行きたくなるような、ちょっとだけ特別な場所になったら。そんな想いで企画した、公園の小さな夏祭りです。
屋台のデザインは、花火を売る番台席と、それに対面して花火の陳列棚・バケツ棚、暖簾が顔となる構えです。
きれいに並べられた花火から好きなものを選び、思う存分楽しんだら、バケツに水をいれ後始末を。ただ花火を売るだけでなく、花火を楽しむ体験自体を販売することを意識しています。
この屋台、実は一人工、半日で制作。
その秘密は、CNCルーターに3Dで木材をカット、加工してくれるShopBotです。デザインを3Dで立ち上げ各部材の切り出しデータを読み込むと、自動で木材を切り出し。切り出された部材を組み合わせ立ち上げて完成です。
部材を切り出す精度が高く、組み立てはスムーズに。設計段階でビスが表に現れないような設計したことで、接合が見えないスッキリしたデザインとなりました。
2020年8月8日〜8月31日まで、3週間にわたり、INN THE PARKの夕涼み祭りを開催しました。手持ち花火のほかに、ビアガーデンや遊びグッズの屋台も出現。
屋台がやってくると、そこに子供達が集まってくる風景は、かつての紙芝居屋さんのような。
どの花火にしようか、真剣に悩む様子は、駄菓子屋さんのような。
新しいような懐かしい光景が生まれました。
もちろん、子どもだけでなく、INN THE PARKに宿泊しにきたカップル、ご夫婦など大人も楽しむ様子がみられました。
ちょっと特別な日常を目指した企画、地元の方々にもたくさん足を運んでいただきました。
宿泊施設として、日本全国、そして海外からもお客さんが多く訪れるINN THE PARKですが、公園は昔から地域の憩いの場。もっと日常の一部としてINN THE PARKがある生活を楽しんでもらいたいと考えていました。
夕涼み祭りは3週間にわたり開催。屋台がアイコンとなりSNSでも拡散され、次第に口コミが広がり、日に日に地元からの来場が多くなりました。(花火が品切れとなるほどの盛況ぶり・・)
これまで花火というと、花火大会のような打ち上げ花火か、家の前でひっそり楽しむ手持ち花火の2択でしたが、このアイコンとなる屋台ができたことで、手持ち花火を公園でみんなで思いっきり楽しむ、という選択肢が生まれたような気がします。
「公園の花火屋さん」は全国どこでもオープンすることが可能です。開催を希望する地域・自治体、企業などの方がいらっしゃいましたら、お気軽にお問い合わせください。
思う存分花火を楽しむことができる風景を日本中に一緒に広げて行きましょう。
デザイン・制作:大橋一隆(株式会社オープン・エー)
企画:佐藤夏生(株式会社EVERY DAY IS THE DAY)
テキスト:菊地純平(公共R不動産)
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