- COLUMN
2021.11.17
都市空間の隙間でスポーツを楽しむ
「tranSPORTer」
パナソニックの未来創造研究所とPUBLICWAREとのコラボレーション。「都市スポーツ」をテーマ に...
2022.2.22
「弥生台TRYBOX」とは本連載vol.2でお伝えした「みなまきTRY STAND」の好調を受け、同様のスキームで実験的に設置されることになった地域のチャレンジスポットです。連載の後半は、勝亦丸山建築計画(カツマル)のお二人とオンデザイン、PURBLICWAREのメンバーによる弥生台TRY BOXでの現地対談を実施。まずはコラボの始まりから設計・制作までの様子を、ともに振り返ります。
勝亦丸山建築計画(以下、カツマル)による場づくりのためのツール「プレイスメイキングキット(PMK)」とオンデザインの手掛ける「弥生台TRY BOX」のコラボレーションを機に始まった「PUBLICWARE」(運営:OpenA/公共R不動産)との、メディア横断企画です。
———————対談メンバー ———————
勝亦 優祐(勝亦丸山建築計画)
丸山 裕貴(勝亦丸山建築計画)
西大條 晶子(オンデザインパートナーズ)
大西 未紗(オンデザインパートナーズ)
菊地 純平(PUBLICWARE/Open A)
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菊地 「弥生台TRY BOX」の設置にあたり、PMKはどのようにここへの導入へと至ったのでしょうか。
西大條 弥生台のお話をいただいたとき最初に考えたことは「いかに貸室にさせないか」ということでした。路面でカウンター形式のみなまきTRY STANDと違って、弥生台は商業施設2Fの1テナントというやや閉じた空間です。そのため1回1回の利用者さんの使用にとどめることなくエリアマネジメント拠点として機能させていくには、なにか工夫が必要だと思っていました。
一方先行するみなまきでは、空間の制限と自由度の高い屋台というツールの組み合わせがオーナーさんの創造性を刺激していて、結果オーナーさんの個性が形となって空間や店頭に現れ出ることを実感していました。
それで、弥生台でも内部をカスタマイズしやすくすることで、みなまきと同様にここでの活動をよりオープンな形にしていけるのではと思ったんです。
そんなときに思い出したわけです、は!あれだ!と。。。
一同 ”アレ” だと!笑
西大條 5年前小田原の商店街イベントでPMKが初めて使用された際、私もお邪魔していたんですよね。それでPMKは今回の件にぴったりだと思って、わくわくしながらカツマルさんに連絡しました。
菊地 オンデザインからカツマルさんに対して、実際にはどんなオーダーをされたのですか?
西大條 みなまきで屋台がどんな使われ方をしているかは、話していましたよね。
勝亦 そうですね。あと具体的な、これをいくつ、みたいなメモもいただいてましたよね。けっこうあれを見ながら作っていました。かなり実用での経験値がたまっていることが感じられるオーダーでしたね。
西大條 ” 〜になるもの ” を◯個、というオーダーをしていたかと思いますね。もしPMKの使用がなんらかの理由で難しいとなった場合、既製品を組み合わせて使うというようなことができないかと考えていて、例えば「テーブル」や「いす」そのものを置くのではなく、それらの「部材になり得るもの」を置くことで利用者にテーブルやいす等に仕立ててもらい空間をカスタマイズする感覚や、その人なりの使い方が可能になるようにしようと考えていました。なので、PMKもテーブルやいすというオーダーではなく「テーブルになるもの」「いすになるもの」というような、いろんなものに変身できるものがいいと言っていました。
菊地 先の「部材になり得るもの」の例として当時のメモで挙げられているワイヤーメッシュやホワイトボードは、PMKでも有孔ボードやホワイトボードシートが貼られた天板として実現していますね。
西大條 スタンド形式のみなまきと室内型の弥生台で、利用のされ方の区別ができるといいなと思っていて、みなまきではなかなか難しいギャラリーや講習会的な利用が弥生台ではできるようになるといいなというところから、有孔ボードやホワイトボードのような展示やレクチャーがしやすい設えを希望していたのですよね。
勝亦 全部PMKで応えようと思って設計していました。
菊地 屋台が2台あることやフックがとりつけられているのもみなまきの屋台を継承しているのですか。
西大條 そうですね。みなまきの屋台の使われ方を見ていて、とにかくひっかけることができるようにしてほしい!ってしきりに言ってました。笑
菊地 例えば屋台に関して言うと、PMK初号からその他どんなところが進化しているのでしょうか。台座部分は以前ボックス型でしたが今回平面なのは、なにか理由があるのですか?
勝亦 今回は屋台に立つ人の背景になるものが取り付けられるようにしたり、台の部分に関しても表と裏をつくることで下の部分に屋台に立つ人が使う備品等を置けるような設計にしました。台は構造的にも平面でいけたしRにすることで円柱の紙管とマッチしてプロダクトっぽくなったかと思います。
丸山 初号は作り方がほんとアナログでしたからね。2人で1週間くらい、しかも最後は徹夜での制作だったんですよ。紙管と材をとめる位置出しから1つ1つ精度が求められる作業だったけど、今回はそういった工程がエマーフ※によって「はめる」ということのみに集約されて、サクサク作れたのはよかったです。
勝亦 紙管とエマーフの相性がすごくよくて、エマーフによって丸い溝を正確に彫れるようになったことで、紙管を板材にスポッとはめる組み立てができるようになったし、できあがったときに水平垂直もある程度保てる。説明書がなくてもなんとなく組み立て方がわかったり、さっき話したようなRをメインにしてプロダクトっぽい形状に仕上げるといったことは今回、エマーフならでは可能になる点として意識しながら設計していました。
※エマーフ:VUILD株式会社による木製ものづくりのクラウドサービス。オンライン入稿したデータをもとにデジタル加工機器でカッティングされた木材が発注者のもとに届く。
菊地 材料も初号より減っている?
勝亦 減ってますね。安定を保ちながら材料を減らすことができたと思います。この家具の量の割には価格も安く抑えられたと思いますね。紙管ってめっちゃ安いんですよ。
西大條 作りながらわかったこと・発見ってありましたか?エマーフを使っての制作は初めてということでしたがいかがだったでしょうか。
勝亦 やすりがけが大変でしたね。VUILDの工場にはやすりがけ専門のバイトさんがいてひたすらやすってるんですよ。
西大條 納品されてからここでもやすりましたね。材にもよるのかな。
菊地 紙管はさすがに別で切ったのですか。
勝亦 紙管は紙管工場で切ってもらった上で納品してもらいました。
丸山 紙管を手動で切断は面倒ですよ。思い出したくない。。。!
西大條 紙管の長さもそんなにパターンなかったですよね。(細3パターン、太2パターン)
勝亦 できるだけ長さをそろえるように設計しました。
丸山 紙管の長さを変えても切断にかかる費用は変わらないのですが、現場で間違えないように、ですね。
菊地 組み立て系のプロダクトは重量のコントロールも大事ですよね。
勝亦 この紙管と紙管は経は同じだけど厚さが違って、横使いするときは厚い紙管、縦使いするときは薄い紙管を使ってますね。重量が全然違うんですよ。
丸山 水かけて横から蹴ったりすると紙管はすぐ折れちゃいますね。水・横に弱い。水は断面から吸っていっちゃいます。だから断面を下にして下に水が溜まったりするとダメですね。
菊地 ニスも塗ってるのですか?
西大條 いろんな人が使うので汚れにくいようにしたいという話をしていて、天板などの木材はニスを塗っています。紙管は素材感を出すため塗らずにおく、、、想定だったそうなのですが誤って一部の紙管には塗っちゃったんですよね。それで色の濃い紙管があるんです。
でも大小のいすになる紙管のうち大のいすになる紙管だけに塗ったので、見分けがしやすくなりましたよね???
一同 苦笑
菊地 組み立てにはどのくらいかかったのですか?
西大條 丸3日はかかっていないですね。5人くらいで作業していましたが、フル稼働というほどではなかったです。組み立ててるときも、みんな面白そうでした。
勝亦 ワークショップ的なイベントとして組み立て費をかけずに組み立てることもできそうですよね。
オープン2日前の夜、ようやく準備が整った弥生台TRY BOX。
PMKを用いて実際にどんな場が展開されていくのか、このときはまだわかりませんでした。
最終回となる次回は、初日から衝撃を受けたオーナーさんによる数々のPMKの使いこなしぶりを
対談メンバーで検証するところからスタートします。お楽しみに!
★ 現在の「弥生台TRY BOX」の出店スケジュールはこちらからご覧いただけます。
☆ 各オーナーさんによるインスタ発信もぜひご覧ください!→→#弥生台TRYBOX
profile
●勝亦優祐(かつまた・ゆうすけ)
〈勝亦丸山建築計画〉代表取締役。1987年静岡県富士市生まれ。工学院大学大学院工学研究科(木下庸子研究室)修了。静岡県富士市と東京都北区の2拠点で、建築、インテリア、家具、プロダクトデザイン、都市リサーチ、地域資源を生かした事業開発等の活動を行っている。
●丸山裕貴(まるやま・ゆうき)
〈勝亦丸山建築計画〉取締役。1987年埼玉県坂戸市生まれ。工学院大学大学院工学研究科(西森陸雄研究室)修了。静岡県富士市と東京都北区の2拠点で、建築、インテリア、家具、プロダクトデザイン、都市リサーチ、地域資源を生かした事業開発等の活動を行っている。
●西大條晶子(にしおおえだ・あきこ)
1983年宮城県生まれ。明治大学卒業。2018年よりオンデザインで、おもに地域拠点の企画運営を手掛けている。
●大西未紗(おおにし・みさ)
1995年愛媛県生まれ。名城大学卒業、名古屋市立大学大学院終了。2020年よりオンデザイン。設計業務だけでなく拠点運営、カレンダーの制作など幅広い案件を担当している。
●菊地純平(きくち・じゅんぺい)
1993年埼玉県生まれ。芝浦工業大学卒業、筑波大学大学院修了。2017年にUR都市機構に入社し、団地のストック活用・再生業務に従事。2019年にOpenA/公共R不動産に入社し、公共不動産活用のプロジェクトを担当。また、2015年よりNPO法人ローカルデザインネットワークにて静岡県東伊豆町の空き家改修、まちづくりプロジェクトに携わる。
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